付き合ってみてからわかることは多いものです。ルルーシュって結構意地悪でした。嫌いになんて、なりませんけど。(By枢木スザク)
遠いばかりの空でした おまけ〜藤堂さんごめんなさい(中)〜
「いいかースザク。別に俺はお前が二丁目に見られると言っているわけじゃない。男から見ても魅力的だなーと言ってるだけだ。」
「…喜んでいいの?それ…」
「俺は面食いだ。最初の相手はめちゃくちゃ美形。」
「…聞きたいような聞きたくないような。あのそれ、僕は大人しく頷いていていいのかな。」
お世話になったようだから藤堂さんにお礼をしよう。そう言って携帯を手に取ったルルーシュは実にいい笑顔をしていた。扇が言っていたことを思い出す。
『…にしてもルルーシュがちょい悪だったとは驚きですね。あんな品行方正な優等生に見えるのに。』
『そうか?今でもたまにわるそーな顔して笑っていることあるぞ。あ、今って言うか、事件の前な。あいつ昇格早すぎて古株の同僚に睨まれて面白くないことも言われてたんじゃないかな。仕返しなんてしなかったろうが、悪態くらいはついていたんじゃないかなぁ。余計なことだとは思うが、あいつは怒らせるなよ。結構性格悪いぞ。』
(話半分に聞いていたけど、本当かもしれない…。)
二個だけ買い求めた季節はずれのりんごの、残ったやつをぽんぽんと放り上げては受け止めての動作を繰り返すルルーシュはうっすらと微笑んでいる。どこか皮肉げな、あるいは自嘲気味な、もしかしたらひっそりと冷たい色を浮べて助手席に座っている。ハンドルを握りながら、スザクは先ほどからの返答に窮する会話に内心非常に困っていた。
「うん、誉めてるから。喜んで。」
「う、うん。」
ちょっと性格が変わっているんじゃないか。試しに一応やってみてと言われて無残に握りつぶされたりんごの香りが手に染み付いている。爽やかなはずのそれがひどく重く車内に立ち込めているようでスザクは少し窓を開けた。まだなまぬるい都会の夜風が吹き込んでくる。
「問題なのは、俺とツーショットでいる時にどう見られるかなんだ。もう一緒に暮らしているとか大声で話してるんだろ?」
「そんな叫んだと言うほどでは…(※叫んでいました。)ルルーシュって、そんな有名なの?その、そっちの方で…。藤堂さんは僅かな人しか知らないって言っていたけど…」
「普通のやつらを一緒に考えるなよ。こっちの方な。有名って程ではないけど、俺ってどうもそそるらしいよねぇ…。」
面白くなさそうに溜め息をついたルルーシュは確かに魅力的だとスザクは頷いた。憂い顔が似合う男なんてどこのチープな恋愛小説あるいは少女マンガの王子様だと鼻で笑っていたが、現実に隣の男はどこか陰のある女装だって普通に似合いそうな超の付く美形である。ブリタニア人のナイスガイは甘いか硬いかに大別できるとスザクは思っているが、ルルーシュは硬質ながらも女性的な綾まで備えた美青年(壮年と言ってもよい年のころではあるが見た目はまだ30で通る。)だ。最初の男がどれだけの美丈夫であろうとルルーシュは十人が十人中認める綺麗な男である。自分もそこそこ容姿には恵まれているとの自覚はあるし、ルルーシュのうっとりと眺めてくる眼差しにそれはだいぶ裏づけされていると思わなくもないのだがいかんせん生まれ付いての童顔だ。ルルーシュは自分のしっかりとついた筋肉が羨ましいと言うが、スザクはスザクでルルーシュの大人びた相貌が羨ましい。どちらにしろだ。ルルーシュはたぶん見解過たず押倒したい部類の男になるのだろう。だから心配で仕方がないのだが、ちゃんと自分の方の対策はできているのだろうか。今日はどうにもはっきりしない物言いが多く汲み取るのに苦労するが、それでもだいぶ気を許して話してくれているのだろう。前よりは遠慮のない話しぶりに嬉しくなってしまう自分は本当にルルーシュに惚れている。憧れから始まった恋であるが、今は一筋縄では行かない人柄に惹かれている。世話はないなと思うのだが、どうにもこうにも扱いづらい人だ。
「そろそろ着くな。本題に入ろう。」
パーキングに入った。ルルーシュは長い指でりんごを弄びながらゆるりと笑っている。
「お前は普通に話しているだけでいいよ。引かなければ。」
「うん?」
「おかしなことするわけじゃないから安心しろって。俺はただ、お前に色目使われるのが嫌なだけ。女はいいよ、仕方がない。でもな、男に、たとえばお前が下で。想像されるのなんか吐き気がする。」
「ルルーシュって結構独占欲強いの?僕も割りに執着するほうなんだけど、」
「うーん、はっきり言わないだけでみんなそこそこ悋気あるんじゃないの。具体的に想像できる分嫌悪感は大きいってだけかな。」
「身を以って知っているから?なんだか面白くないよ。僕はルルより嫉妬深いと思う。話が進まなくなるから黙って聞いていたけど、今までルルが付き合ってきた野郎なんてみんな、」
「それはお互い言わないことにしよう。ガキじゃあるまいし。でもごめん。ちょっとデリカシーなかったよな。みんな綺麗に切れてるから。…あはは、嬉しい。」
そろそろこのあけすけな会話に鬱憤が溜まって来たスザクはつい本音を零しかけたがルルーシュにさりげなく止められる。先に謝られてぽつりと無邪気に笑われて、怒りがそがれてしまった。
(まあ、一点の曇りもない関係なんてつまらないし。ありえないし。)
これからゆっくり話していけばいいことで、今はとりあえずお礼も兼ねた報告会(『僕たちできちゃいました☆』)に意識を向けることにする。
方向性を持って会話をするのが苦手です。ぐだぐだで申し訳ありません。