【ルルーシュがスザクのパパです。(…。)その上二期の新キャラロロさんをスザクの従兄弟にしてしまいました。ネタです、どうかお許しくださいませ(平伏)。ついでにカレーって重いよな…と思った管理人の独断と偏見が少しばかり…(土下座)】
反逆のパパ(後)
基本的には几帳面で物が片付かないのは我慢がならない父がこんなことをするのは、昔からの癖なのだと父の実妹のナナリー叔母が言っていた。ストレスバロメーターとは彼女の弁で、はじめてスザクが坊ちゃん刈りのみかん(の皮)を見た時はただ純粋に父さん器用なものだなぁと思っただけである。けれど苦笑しながら叔母は言った。「あら、お兄様が反抗期。」
いい年をした大人が反抗期も何もないと思うのだが確かにその頃父の様子はおかしかった。理由は今にして思えばしょうもないことであるのだが(なに、従兄弟のロロが父にべたべた纏わりつくのを面白くなく思ったスザクが、父に冷たく当ったのである。父さんあいつの方がかわいいんでしょというわけだ。)、父は相当堪えていたようで、まさか息子に当るわけにも行かず誰に仲裁願うことも出来ない状況で、細い神経がまいってしまった。常の几帳面さはどこへやら、ちょこんと真っ二つにされた蜜柑の皮が無造作に放置されることになったのである。つまりストレスのたまった猫がはばかりを汚すようなもので、それが人間の父であるからちょいと手が込んでいてちょいと慎ましやかでちょいとかわいらしいだけの話。
まあ不機嫌になられたり部屋を散らかされたりするよりはよっぽどましだ。たかが蜜柑の皮一つ片付けるのに嫌はない。腹も立たない。うっかり騙されるともやもやするが、注意して見ればただの皮。
ただその時スザクは父の無言の抵抗なんだか主張なんだか悲哀なんだか、とにかく当時の貧弱な語彙では表現できない何かを感じてしみじみしっとり悲しくなった。いじわるしなければよかったなと心底思う。だからそれ以後、坊ちゃん刈りの蜜柑を見つけたときは出来る限り父に優しくしてあげた。自分に思い当たる節がないときは殊更優しく甘やかす。父だって一人の人間なのだ。日々の仕事に暮らしに疲れることだってあるだろう。こんなささやかな反抗期なら寧ろかわいらしいものだと、成長した今は思うもので、だからスザクは父が居るだろう書斎に向かう。
父さんあれは言葉の綾だよ。
見合い話は断って。
ドアを開けると父が居た。持ち帰った仕事でもあったのか黙々とデスクに向かっている。
「父さん」
「 なんだ?」
返事はするが顔は上げない。きっと父は無意識だ。ささいなところで普段と違うことをする。常のとおりにしているつもりなんだろうなと思うから、少しばかり調子の狂っている父を見ていて可哀相だと思ってしまう。結局はほだされている自分に心の中で苦笑する。
「あの話は、どうなった?」
「保留にしている。一度くらい顔を合わせるのが礼儀だろう。」
不機嫌な声ではなかった。静かでほんの少し寂しそうな声。
スザクは持って来た蜜柑を黙ってむいた。丁寧にすじを取って一房父の口に運ぶ。
「…、」
一瞬目を丸くした(それはそうだ。いきなり冷たい蜜柑が目の前に現れたのだから)父が無言でぱくりと口に入れる。
「おいしい?」
「 うん。」
「夕飯はカレーうどんにしてあげるからね。」
「ほんと?」
みかんを飲み込んだ父が嬉しそうな顔でスザクを見上げた。意外なものが好物なのだ。カレーの重さに胃もたれを起こすくせにうどんを見るとかけたがる。あっさり軽めの付け合せをどうしようかと悩むので、スザクはあまり作ってやらない。辛口がいいなと言いながらあまり辛いと食べられないので、こっそりルーの甘口を混ぜてやったり手がかかる。
「ちょっと買い物に出てくるから、それまで一段落させておいてよ。」
頷いて、父の手元の書類を指して言う。部屋を出て、うどんと何か野菜を買わないとなと思案しながら靴を履いていると、ぱたぱたと足音がした。
「父さんも行くよ。ほとんど終わっていたから。」
来るだろうなぁとは思っていたのだ。ほんのりと頬を染めてご機嫌な父の顔。
「車のキーは?」
「歩いていこうよ。大した距離じゃないだろ。」
「それじゃあ父さんが一緒に行く意味がないじゃないか。」
「スザク冷たい!たまには親子一緒に散歩しようよ。荷物は父さん持つからさ。」
スザクははぁと溜め息をついた。荷物は自分で持つと決めている。
「父さんのあまえんぼ。もう蜜柑は買ってあげないからな。」
言えばほんの少し恥ずかしそうな顔をして、父が笑った。
fin.